丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
凱吾「―――――映画、結構良かったね!」
鈴嶺「うん!
最後、ハッピーエンドで良かった!」

凱吾「フフ…鈴嶺は、ハッピーエンドじゃないと泣いちゃうもんね(笑)」
鈴嶺「うん。だってやっぱり、幸せになってほしいから」

凱吾「可愛い…!」
鈴嶺「え?」

凱吾「そうゆうところ、可愛い……!」
鈴嶺「あ/////ありがとう…/////」

凱吾と鈴嶺は、二人でいるとあっという間に“二人の世界”に入ってしまう。

特に凱吾は鈴嶺“だけしか”視線や意識を向けないので、場所関係なく鈴嶺を求める。

凱吾「鈴嶺、キスしよ?」
鈴嶺「え!?/////
だ、ダメだよ!/////佐木がいるんだよ?」

凱吾「でも、したい。
可愛い鈴嶺にキスしたい――――――」
鈴嶺「だ、だめ…/////」

凱吾の顔が近づいてきて必死に押し返すが、凱吾の力には敵わない。
二人の口唇が重なった。

佐木「………」
その様子を後ろの席で感じながら、佐木は“平静を装って”いなければならない。

もう慣れたことだが、自分が凱吾と代わることが出来たら……と、何度願ったかわからない。


凱吾がしているように―――――鈴嶺の頬に触れ、赤くなる鈴嶺の表情を見て「可愛い」を囁く。
口唇をなぞり、そっと口唇を重ねる。
鈴嶺の口唇をあじわうように貪る。

そうゆうことが、したい―――――――

鈴嶺の視線、言葉、思考……凱吾だけに向けられている全てを自分のだけのモノにしたい。

だからこそ佐木にとって、凱吾の仕事中に鈴嶺と出掛ける時間は“貴重なひととき”である。


鈴嶺に頼られると、これ以上ない幸福感に包まれる佐木。
用件が、どんなに些細なことでも……

鈴嶺から電話がかかってくる。
佐木「はい」
鈴嶺『佐木、今からすぐ出れる?』

佐木「えぇ。どうされました?」
鈴嶺『お醤油がなくなっちゃって!』

佐木「でしたら、私が買ってきますね!」
鈴嶺『ごめんね。
凱くんが帰るまでに間に合う?』

佐木「30分程で買ってこれますよ!」
鈴嶺『ほんと!?じゃあ、お願いしていい?』

佐木「はい!」

“お嬢様が頼ってくださった!”
その事実が、震える程嬉しい。

佐木は足早に買い物に向かい、購入して鈴嶺の待つマンションに戻った。

鈴嶺「ありがとう!
――――――佐木、これ!食べて?」
“おすそ分け”と言われ渡された、スープジャー。

佐木は、噛みしめるように食べたのだった。

< 123 / 133 >

この作品をシェア

pagetop