丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
五人は親友
丘の上の大きな桜の木の下━━━━━━

タキシードとウェディングドレス姿の凱吾と鈴嶺。

宗匠、紀信、杏樹も正装している。


優しい風に揺れる桜。
五人は実和に挨拶をし、そのままその場を後にした。


丘を下りた所に、大きなリムジンが停まっている。
運転席から、佐木が出てきた。

結婚しても佐木は鈴嶺の執事として仕え、今後は凱吾と鈴嶺の執事として二人の自宅マンションの下に部屋を借りて住むことになった。


佐木「どうぞ」

杏樹「ありがと!」
佐木が手を差し出し、杏樹が佐木の手を握り乗り込んだ。
その後、宗匠と紀信が乗り込む。

そして、鈴嶺に手を差し出す佐木。
佐木「お嬢様、どうぞ」
鈴嶺「ありがとう!」
佐木の手を握り、リムジンに乗り込む。
しかし━━━━━━

鈴嶺「キャッ━━━!!!?」
「「「「「鈴嶺(お嬢様)!!!?」」」」」

ドレスの裾を踏んでしまい、前につまづいた。

トン……と紀信が、抱き留めた。

鈴嶺「………」
紀信「……っ危なっ…」

鈴嶺「………」
紀信「……鈴、嶺?」
紀信にしがみついている、鈴嶺。

凱吾「紀信!!!」

そこに、突き刺すような凱吾の声が響いた。
そして後ろから鈴嶺を奪うように抱き寄せる。

凱吾「鈴嶺を離せ!!」

紀信「そんな怒ることないでしょ?
鈴嶺が転けたから、抱き留めただけ!」
宗匠「そうだぞ!
あの状況で、抱き留めない奴はいねぇよ!
つか、抱き留めない方が人間性を疑う」

凱吾「わかってるよ。
でもだからって、そんな抱き合うことないだろ!」

宗匠・紀信「だからぁ!!」

佐木「皆さん、やめてください!」

凱吾・宗匠・紀信「うるさい!!」


鈴嶺「……………あ、あの!凱くん!」
凱吾「ん?」

鈴嶺「紀信くんは悪くないよ。
私が、怖くてしがみついたからしかたなく………」
凱吾「違うよ。
紀信がすると、変な意味になるんだ。
悪いのは、紀信だよ」

鈴嶺「いや、だからね!」

杏樹「はい!もう、この話はおしまい!
せっかくの結婚式の素敵な日なんだから!」

杏樹の言葉で、凱吾達はおとなしくなった。

佐木「さすが、杏樹様!」
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