丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
凱吾・宗匠「━━━━━鈴嶺!(鈴!)」

それからも楽しく話をしていた、鈴嶺と利美。
そこに、佐木を後ろに控えた凱吾と宗匠が現れた。

鈴嶺「凱くん!宗くん!」

凱吾「こんな所にいた!
僕から離れないで!」

鈴嶺「あ、うん。ごめんね…」

凱吾「鈴嶺。僕、今から会社に行かなきゃなんだ」

鈴嶺「え……」
鈴嶺の雰囲気が、悲しみに揺れる。

凱吾「ごめんね。だから、佐木と帰ってて?
大丈夫。そんなに遅くならないから!」

鈴嶺「………うん、わかった…早く…帰って来てね……?」

凱吾「うん。
でもなんかあったら、すぐに連絡して?」
きゅっとジャケットを握りしめる鈴嶺の頭をポンポンと撫でて、凱吾は佐木に「後は頼む」と言いホテルを後にした。

凱吾が見えなくなるまで切なく見つめている鈴嶺に、宗匠が声をかける。

宗匠「ほら、鈴。
帰るぞ?
なんなら、お前の好きなパンケーキ店行く?
連れてってやるよ?」

宗匠も、鈴嶺の頭をポンポンと撫でて言った。

鈴嶺「ううん。ありがとう、宗くん。
もう遅いし。
太ったらやだし……帰る」

宗匠「プッ…お前さ、もっと肉つけろよ!
細すぎ!(笑)」

今度は頬をぷにぷにつまみ、引っ張った。

鈴嶺「ちょっ…/////宗くん!!」

宗匠「フフ…可愛いなぁー(笑)」


利美は、そんな二人を見ながら“ほんと、仲良いよな~”と微笑ましく思っていた。



佐木「━━━━━では、宗匠様。
失礼します。
佐々江様も、さようなら」

宗匠「ん」
利美「さようなら!」

鈴嶺を乗せた佐木の車を見送り、宗匠は伸びをした。
利美「鈴嶺様って、ほんと可愛らしい方ですね!」

宗匠「え?あ、あぁ、そうだな!」

利美「………」

宗匠「何だよ」

利美「不破様、鈴嶺様のこと特別に思ってますよね?」

宗匠「は?」

利美「“それが”愛情ですよ?」

宗匠「は?」

利美「不破様は、愛情がわからないんじゃないと思いますよ?
きっと……“傍にいすぎて”気づかないだけなんですよ。
じゃあ…私は、これで!」

丁寧に頭を下げ、利美は会場に戻ったのだった。
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