本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜
翌朝。
由麻が目を覚ましたのは、毎日自動で設定されているスマートフォンのアラームが鳴ったから。
「……ん?」
見覚えの無い空間に、一瞬思考が停止した。
そして正気に戻ると慌ててベッドから起き上がり、音の元を探して鞄を見つけ、中を漁ってアラーム音を止めた。
部屋をぐるっと一周見回してから、とりあえずリビングへと続くドアを開ける。
その向こうに広がるリビングと、ソファに眠る和音の姿を見てようやくここが和音の泊まっているホテルだと思い出した。
さらに昨夜見た夢まで思い出して。
和音から何度も何度もキスされる夢。
妙にリアルだったあの夢は、もしかしたら現実だったのでは……?と気が付いて、胸が高鳴る。
ソファにそっと近付くと、規則正しい寝息を立てている和音が寝ていて。
気持ち良さそうなその寝顔。
「……ずっと見てたい」
呟いた声に、和音の眉間に皺が寄る。
ふと、あれ?……仕事!と思ったものの、よくよく考えれば今日はお休みだった。
それに気が付いて、気の済むまでその寝顔を見ていようと顔の側で座り込む。
「……ふふ、寝癖」
ぴょんと跳ねた髪の毛を、手でそっと抑える。
しかし離すとまたぴょんと出てくるものだから、面白くなって何度もやった。
その内触られていることに気が付いたのか、眉を潜めてからすぐに開いた目。
「……」
「おはようございます」
「……由麻ちゃんだ。おはよう」
ふわり。その視線が由麻を捉えた瞬間に表情を崩した和音に、由麻は心臓を撃ち抜かれたような錯覚がした。
それくらいインパクトのあった笑顔に、バクバクと心臓が激しく動いていた。
ふわぁぁぁ、と欠伸をしたかと思えばすぐに全身で伸びをして。
滲んだ涙を袖で荒く拭う姿は、まるで猫みたい。
普段はどちらかと言うと犬みたいなのに、なんて。
その様子を見て笑ってしまった。