本気で"欲しい"と思った。〜一途なエリートドクターに見染められました〜


寝顔はとても穏やかで、良い夢でも見ているのかどこか微笑んでいるような気さえする。


顔にかかる髪の毛をそっと手で梳かし、ピンク色に染まった頬をゆっくりと撫でる。


愛おしくて堪らなくて、抑えていた理性が少しだけ顔を出した。



「……」



頬に触れるだけの、キス。


触れた瞬間、長い睫毛が少し動いたような気がしてすぐに体を離す。


しかし寝返りを打っただけの由麻は反対方向を向いてまた寝息を立て始めて。


ふぅ、と息を吐くとそのままベッドルームを出ようとする。



「……ん、かず、ねさん……」



その時聞こえた声に、パッと振り向くもののやはり由麻は寝ていて。



「……っ」



寝言で自分の名前を呼んだ由麻に、どうしようもない愛おしさが込み上げる。


思わず赤面した和音はもう一度戻って。今度は唇にもう一度キスをする。


一度だけ。触れるだけ。そう思っていたのに、気が付けばその柔らかさが癖になって何度も何度もキスをする。


次第に苦しくなったか、薄目を開けた由麻。


それに気付いて鼻が触れ合う距離で止まった。



「……かずねさん……?」


「……ごめん。起こしちゃったね」



微睡の中なのか、和音の言葉に特に返事は無い。


目を閉じたり開いたり。その間も和音はじっと由麻を見つめる。


その視線は熱っぽく、愛が溢れていた。


耐えきれずにもう一度だけ、と触れた唇。


それは驚く程に震えていて、温かい。



「……おやすみ」



呟いて部屋を出る和音は、その晩ほとんど眠ることができなかった。

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