虹色のバラが咲く場所は

198話 バトン

「え、」
小さく呟かれた声で舞も
知らなかったと分かった。

「急に、いや、前から決めてたのかな。夏合宿の時もそれ以前も不仲って感じはしなかったし」
独り言で自己完結していた。

「やっぱり何も聞いてなかったの?
翔さんから」
「うん、去年の夏に会った時も
そのあとの電話でも言ってなかった」
顔が曇ったのは知らなかった、
教えてくれなかったという悲しさだと
勝手に解釈した。

「舞が他言するかもっていう心配
じゃなくて特別扱いしたく
なかったんじゃないかな。
妹としてじゃなくて1アイドルと  
して言わなかったんだと思う。
翔さんはいつも妹としてみてたように
見えるけど今回はRainbow Roseの舞としての行動だと、俺は思う」
「類、」

そうは言っても動画はまだ進む。
記者の1人の
「どうして解散を決めたのか、
その理由を教えてくれますか?」
この質問に対して答えたのは優斗さん

「解散を決めたのは憧れというバトン を次の世代へ渡すため。
ある人に言われた言葉があるんです。
憧れは次の憧れを生む、と。
何かを志すのは多かれ少なかれ憧れが
あると思うんです。
僕たちに憧れてアイドルになると決意
してくれた後輩達がいる。 
僕たちもそれぞれ憧れた人が
いたように。
バトンを渡したのにまだステージに
いるのは違うんじゃ無いか、
そう思ったんです」

優柔不断さは微塵も感じないくらい
凛とした声。
次に席を立ったのは日向さん
「先輩達から受け取った
バトンを後輩へ。
時代が変わってアイドルの形も少しずつ変わった。でも根本的には何も変わらないと思っています。
そのバトンを受け継ぐにふさわしい
アイドルをみたい。
そこで考えた企画がこちらです」

ずっと後ろにあったホワイトボード、
何も書かれていなかったものを
陸さんがひっくり返す。
「STEPへの挑戦状」
(いや、タイトルそのまんますぎない?)

翔さんの企画説明を要約すると
・事務所、知名度などは関係なく
どのアイドルもエントリー可能
・募集期間は5月末日、
・6月末日までに特設サイトにライブ映像を上げて一定の視聴数を超えることが
予選突破の条件
さらに日向さん以外の6名で各1チーム
ずつ挙げた、6チームで本戦。
・優勝したチームは最後にSTEPと
同じステージに立つ
ということらしい。

説明を終えて一人一人の胸の内を
明かしてコメントがざわついている中
生放送は終了。

「どうする?エントリーする」
「いいんじゃない?
エントリー。一応七瀬さんにも聞いて
おくか。いいと言ってくれそうだけど」
「え、舞も類も軽すぎない?」

「雪希、夢を叶えるワンチャンス。
告知があるのになんで
やらないと思うの?」
言葉の端々や瞬きが多いことで
興奮していることが分かった。

「これさ、STEPとの共演が
STEP最後のライブになること
ないかな?」
今まで黙っていた蓮は口を開く 

「どうなんだろう。
それだとファイナルライブだよ。
それが共演ってファンはどう
思うのかな」
「STEPの最後の企画であり
わがまま。反対する人は少ないと
思うけど」
「STEPはライブでは
単独ライブがほとんど。
むしろ誰が選ばれるのか
楽しんでるんじゃない?」

舞、俺、雪希の考える素振りのない発言に蓮は何故かため息をついた
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