年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
ずっと我慢していた。
園城財閥がうちに出資をしてくれる以上、確かに身分は存在するのかもしれない。
でもそれは会社の中だけだ。
この家庭の中にはそんなもの存在しないの。
伝わるだろうか。
「まぁ!本当に生意気だわ!悟がいなかったらワインでもぶっかけてあげたいくらい。
なんで悟はこんな女と結婚したのかしら」
お義母さんは顔を真っ赤にして声を荒げた。
初めて打ち明けた自分の気持ちは伝わらなかった。
「どうした?」
電話を終えた悟さんが戻ってきたのか、声をかける。
少し息を切らしていて早く戻ってこようとしてくれたのだろう。
「この子ったら、今日ずっと生意気なのよ!対等でいたいなんて伝えて来て、うちが出資をしてるって言うのにこの態度。悟の方も言ってやってよ」
悟さんは私とお義母さんの両方を交互に見つめた。
その姿に迷っているのかもしれないと不安になった。
悟さんにとっては実の母親。身内を庇うのも無理はないだろう。それに出資してもらっていることは事実だ。
「どっちの味方なの!悟。言ってあげてちょうだい」
「そうだな、この際だからハッキリ言っておく」
──ドクン。
彼の言葉に心臓が嫌な音を立てる。
ここで悟さんに突き放されたら私は……また前の自分に戻ってしまう。