年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
「いただきます」
「またこのハンバーグが食べられるなんて幸せだ」
「ふふっ」
冷徹で感情を表情に出すことはほとんどしなかった悟さん。でも今は喜んでいることや拗ねていることが分かるようになってきた。
嬉しい時は目がキラキラして子どもみたいに小さく身体を揺らすんだ。
彼は美味い、美味いと言葉を溢しながら、ハンバーグを口にしていた。
この食卓の時間が私は大好きだ。
なんでもない話をしながら、一緒にご飯を食べて笑い合って幸せを感じる。
すると悟さんが話を切り出した。
「そういえば、今週の土日は空いてるか?」
「はい、予定は入っていないですけど……」
「そうか」
相槌を打つと、彼は眉を顰めて伝えてきた。
「俺はあまり会わせたくないんだが吉野が沙織に会いたいと言ってきてな」
悟さんは本当に会わせたく無さそうな顔をしている。
その言葉と表情のギャップが面白くて私はくすりと笑った。
「私は全然構いませんよ」
吉野さんは悟さんの幼馴染だと言っていた。
私たちが離婚した事実があることを園城さんの身内では唯一知っている人物だし、その後の報告をしていなかったらちょうどいいかもしれない。