年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
しかし悟さんはしかめっ面をしたままだ。
「俺は嫌なんだがな。吉野は本当に女癖が悪い、そんなやつの元に沙織を連れていきたくない」
怪訝をたっぷり含んだ表情でありつつも、紹介はしたいと思っているから伝えてくるのだろう。
「私は大丈夫ですから」
「よそ見しないで、俺だけを見ていて欲しい」
「当然です」
吉野さんと飲みに行く日は土曜日に決まった。
あとの日曜日はどうするんだろう?
「日曜日だが、連れていきたい場所がある。いいか?」
「はい……」
なんだろう。
オシャレなレストラン?それとも友達に紹介?
この1カ月間で色々な工程を踏んできた。
悟さんの行きつけのお店に連れて行ってくれたり、私が大好きなお店を紹介したり、お互いの友達を紹介し合ったり……。
実は悟さんは、私の友達、朋絵にも会っている。
朋絵のことを話したら、ぜひ会わせて欲しいと言われて会うことになった。
朋絵は緊張するのかな?なんて思ってたけど、いつも通りで悟さんには厳しい言葉も告げていたり、あの日は愉快なパーティになった。
今まで愛のない生活だったのに、あたかも存在しているかのように装ってきた。
でも今は装う必要もなくありのままでいられる、この関係に心地よさを感じてる。