年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
「ドキドキします……」
純白のドレスを身に纏い、ずっと見ているだけだった結婚式をこれから自分がするんだ。
チャペルの扉が勢いよく開くと、オルガンの演奏が始まる。
観客は誰一人いない中、赤い絨毯をゆっくりと進んでいく。
「観客がいた方が良かったか?」
「ううん、だって私たちのために挙げるものだもん」
「キミならそういうと思った」
悟さんはふわりと笑った。
誰かに見せびらかすためじゃない、私たちだけの私たちのために開く結婚式。
私はこの日のことを一生記憶に刻むだろう。
教会の前まで来ると、自然に音楽が止まった。
私たちだけの静かな時が流れる。
そして悟さんが愛おし気に目を細め私を見ると、静かに伝えた。
「キミにもう一度プロポーズすると伝えていたな」
こくりと頷く私。
「今、この場でさせて欲しい」
私は思わず口元を手で覆った。
誰もいない場所、かつこの神聖な場で伝えようとするのが悟さんらしいと思った。