年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
深夜、玄関のドアが開き園城さんが帰ってきた。
いつものように出迎えてカバンを受け取ると、彼はまさか出迎えてくると思わなかったのか、少し驚いた顔を見せた。
カバンを預かり、園城さんが着替え終えるのをリビングで待っている。
寝室から出てきて彼は少し気まずそうな顔を見せた。
「昨日は……」
園城さんが先に口を開く。
その瞬間、私の耳がピクリと動いた。
嫌だ、昨日の話はしたくない。
「園城さん、お話があります」
彼の言葉を遮って、先に言葉を伝える。
昨日のことを覚えていないのなら、それでいい。もう掘り起こしたくなかった。
私は決意したようにリビングのイスに腰掛けた。
園城さんも何かを察したようで向かいのイスに座ろうとする。
その時視界に入ったのか、テーブルに置いてある結婚指輪と離婚届けを見つめ、一瞬動作を止める。
要領のいい園城さんのことだ。
もうきっと何を言うか、察しがついているだろう。
こうして向かいあって、この家で座ったのは初めてだ。本来は一緒に食事をするためのイスだけど、私たちが向かい合うのは、離婚届を書く時だけだ。
私は覚悟を決め息を吸い込むと、はっきりと口にした。
「園城さん、私と離婚していただきたいです」