年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
何気なく、やりとりをぼーっと見ていると、頭を下げていた人が顔を上げる。
「えっ……」
園城さんに似ている。
でも、違うよね?
だってこんなところにいるわけないもん。
「キミも忙しいのにこんなところまで来るのは大変だろう?」
「とんでもない。この病院の周りは自然が豊かですし、息抜きになりますよ」
え、園城さんだ……。
疑問が確信に変わる。
間違いない。
上品なスーツに、アーモンド色の瞳。聞き慣れた声。
まさか彼の取引先の病気がここだったなんて
……。
私は自動販売機の角に身を寄せ、バレないように隠れた。
「それでは、失礼します」
バレたくない。
バレたらめちゃくちゃ気まずい。
ぎゅっと目をつぶり、足音を聞く。
入り口がある下の階に行くエレベーターは、こことは逆方向にある。
大丈夫、ここにいればバレるはずはない。
彼が去っていくのを息を殺して待っている。
あれ、足音が聞こえない。
もう行ったかな?
壁からもう一度覗いた瞬間。
「ぎゃあああ!」
目の前には園城さんの姿があった。