年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~


めでたい婚約の場で離婚を打ち明けるのも違うだろうし……私に妻として来て欲しいということだろう。

「来週なら予定もないですし、私は構わないですよ」

元々私が時期を考えず一方的に伝えた離婚だ。園城さんのタイミングに合わせると伝え
ていたし、必要であれば妻としてパーティーに参加もするとも言った。

ここは協力すべきだろう。

「すまないな。キミに迷惑を掛けるのはどうかと迷っていたんだが……」

「全然構いません。私もまだ父に伝えてないですし」

「そうだったのか。でもキミのプライベートに支障が出ないよう努める」
「分かりました」

園城さんの仕事が落ちつけば、離婚を発表する機会が作れて大々的に知れ渡るだろう。
それまでは、仮面夫婦を演じよう。

「詳しい日程はまた連絡する。すまないがよろしく頼む」
「分かりました」

電話を切って、そのままソファーに寝転んだ。

もう一度園城さんと夫婦を演じるのか……。

変な感じだ。
でも、結婚していた時だって仮面夫婦のようなものだった。

愛はないけれど、あるみたいに見せて隣です微笑んで……そういう時間が私は苦手だったんだ。

でももう期待しなくていい。
フラットに夫婦を演じるだけでいいんだ。

距離が縮まらなくて悲しむ必要もないし、もっと頑張ろうとする意味もない。
前よりも幾分気持ちは楽かもしれない。

「楽しむ気持ちでやってやりましょうか!」

私は自分に気合いを入れた。

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