年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
私がドレスを着ても園城さんは何も言わない。それはいつものことだ。
その視線から逃れるようにして、私はわざと声を高くし、ドレスを自慢げに見せた。
「どうですか?」
手を広げ、全体を見せるようにゆっくり回って見せる。きっと「誰も見ていないところで夫婦を演じる必要はない」とか言うんだろうと思っていたのに、園城さんは私が思った反応とは全く違う反応をした。
「……似合っている」
「えっ」
ぼーっと私を見つめ、まるで心から出てきたみたいな口調でそんな言葉を吐く。
「……っ、何、言ってるんですか」
「とても綺麗だ」
真っ直ぐに私を見て口にする。
その瞬間、今まで我慢していた気持ちが一気に込み上げてきた。
なんで。
なんで今それを言うの?
ずっと言われたかった言葉。
ずっと見てほしいって思ってた。
それを離婚した今、言われるなんて残酷すぎて、鼻がツンっとして目頭が熱くなる。
「な、なんで……今更言うんですか……」
必死に涙を堪える。
なんで今更このドレスを選んだの。
今日こそお義母さんのドレスで良かった。
嫌な思い出は、嫌な時のままでいさせてほしいのに、変に塗り替えられたら今までのことを思い出してしまう。
ホロリと頬を伝って流れた涙を見て、園城さんは焦ったように口を開いた。
「何か気に入らなかったか?」