クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました

　そんな失態をしたら、契約結婚の提案を引き下げられてしまう。せっかくの選択肢を失うわけにはいかない。

　平静さを装いながら、こほんとひとつ咳をする。

「なるほど、わかりました。一年間の契約結婚生活を終えたら離婚ですね。……ベッドはともにしなくてもいい、と」

「君が望むのなら付き合おう」

　真面目に、かつ真剣に言われて悲鳴が出そうになった。

「だっ、大丈夫です！」

　恋愛経験のない私が、彼を満足させられるはずがない。むしろ離婚する時期を早められるぐらい、不慣れさを呆れられる可能性がある。