クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 声に変化がないせいで感情を推し量れないけれど、なにか誤解された気がする。

「あっ、違うんです、違うの。むしろ透哉さんのほうが、私に踏み込んでほしくないんだと思ってて。だから驚いたというか、意外だったというか」

「俺は君に踏み込まれたい」

 さっきは目を逸らしたのに、今度は自分の気持ちを伝えるかのようにまっすぐ見つめられる。

 感情表現の薄いクールな人だと思っていたはずが、その眼差しを見て少し考えが変わった。

 彼の中にはちゃんと〝熱〟がある。踏み込まれたいと乞う声にも温度があった。

 でもそれは、私にとってあまりいい発見ではなかったかもしれない。

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