激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい～契約結婚なのに溺愛で満たされました～
「うん。空港に向かう前に顔を見に来てくれたみたいで」
「その旦那様のおかげで、日菜子の社内でのイメージが一変したわよ。『浮気性の恋人に捨てられたら、ハイスペックなイケメンに求愛されて結婚した勝ち組』ってみんなうらやましがってる」
「なんだかすごく恥ずかしいんだけど……」

　両手で顔を覆ってうつむく。

　亮一さんが野口さんに向かって、『ずっと好きだった彼女を手に入れることができた』なんて言ったから、そんな噂が広まってしまったんだろう。

　本当は求愛されたわけじゃなく、ただの契約結婚なのに。

「いいじゃない。対して野口さんの評価はダダ下がりだけどね」

　言いながら聡美は野口さんのデスクのほうに視線を向ける。

　昨日は同期の女性社員たち数人と私のほうを睨んでひそひそ話していたけれど、今日は彼女のまわりに人はいなかった。

　彼女は不満がたまっているのか、険しい顔でペンを噛んでいる。
　ものすごくイライラしているようだ。

　心配になって見ていると、聡美が私に耳打ちした。

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