激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 日本では今日が終わろうとしているのに、アメリカではこれから一日がはじまる。
 夜と朝、正反対の時間が流れている。
 それだけとても離れた場所にいることを実感する。

『そういえば、日菜子と暮らすために引っ越しをしたよ』
「わざわざ引っ越したんですか?」
『あぁ。大使館のそばにあるアパートメントだ。大使からはせっかく結婚したんだからプール付きの一軒家にしたらどうかと言われたけどな』
「プール付きの一軒家?」

 そんなの、大豪邸じゃない!と驚く。
 さすがアメリカだ。日本とは住宅に対する感覚が違うんだろう。

『子どもができたときのために一軒家のほうがいいだろうとすすめられたんだが、今回は広さよりもセキュリティを重視した』
「こ、子ども……っ」

 さらりと言われた言葉に動揺してしまった。

 新婚夫婦の間に子どもが生まれるのは不自然なことじゃない。

 大使は私たちが契約結婚だと知らないから、気を使ってそうアドバイスしてくれたんだろう。

『新居のアパートメントもそこそこ広い。日菜子が気にいってくれるといんだが』
「へぇ、すごく楽しみです。写真はないんですか?」
< 117 / 231 >

この作品をシェア

pagetop