激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
『あることはあるが……。せっかくだから、こっちに来るまでのお楽しみにしよう』
「えぇ、焦らすんですか? 意地悪」

 私が拗ねると亮一さんが低く笑う。

『知らなかったか?』と問われドキッとした。

 亮一さんは紳士的で優しいけれど、ときどき意地悪になる。

 そんなときの亮一さんは男性というより雄っぽくて、その艶っぽさにどうしていいのかわからなくなる。

 それは私の恋愛経験が少ないからなのか、それとも亮一さんの色気がすごすぎるのか。

 たぶん、両方なのかもしれない。

『もうすぐ日菜子の誕生日だな』
「あ。そうですね」
『せっかくの妻の誕生日を直接会って祝えないのは残念だ』
「仕方ないですよ。亮一さんはアメリカにいるんですから」

 来週の金曜日に私は二十五歳になる。

『誕生日プレゼントはなにがほしい?』

 そう問われ、「亮一さんがくれるなら、なんでもうれしいです」と答える。

『遠慮しなくていいんだぞ』
「遠慮なんてしてないですよ。亮一さんはいつも素敵なものをくれるので」

 亮一さんは毎年私の誕生日にプレゼントをくれた。

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