激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 日本にいるときは直接渡してくれたし、海外に赴任しているときはわざわざ国際便を使って送ってくれた。

 センスのいい彼は、毎年上品で素敵なアクセサリーやバッグを選んでくれる。
 しかも自分ではなかなか買えないような、高級なものを。

 最初は『こんな高いものいただけません』と遠慮していたけれど、『日菜子ちゃんは俺にとって大事な人だから、受け取ってほしい』と微笑まれるとなにも言えなくなった。

 ただの友人の妹のために、毎年プレゼントを選んで贈ってくれるなんて。
 本当にまめで優しい人だと思う。

 亮一さんは男兄弟しかいないから、私を妹のようにかわいがってくれていたのかもしれない。

『誕生日の当日は仕事だよな』
「はい。ちょうど最後の出社の日なので、誕生日と送別会をかねて会社の人たちが食事をしようって言ってくれていて……」
『それは元カレも参加するのか?』

 亮一さんの問いかけに、「まさか」と首を横に振る。

『本当に?』
「誰も誘わないだろうし、彼だって来たくないと思いますよ」
『それならよかった』

 相変わらず心配性な彼にくすくす笑う。

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