激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 亮一さんがこうやって私に優しくしてくれるのは、契約結婚を円滑にすごすための演技なんだから。真に受けて好きになっちゃだめなんだ。


 そう自分に言い聞かせた。



 




 翌週の金曜日。会社の同僚たちが送別会を開いてくれた。

 会社主催の公的な送別会ではなく個人的な集まりなのに、聡美をはじめ、同期の子や先輩たち、たくさんの人が参加してくれた。

「早川さん、お疲れ様ー。そしてお誕生日おめでとう!」

 ねぎらいの言葉とともに、花束とプレゼントを渡された。

「ありがとうございます」と感謝をしながら受け取る。

「ほらほら開けてみて?」

 先輩の女性からそう言われ、プレゼントの箱を開いた。

「わ、パジャマですか?」

 箱の中には二着のパジャマ。
 上品なデザインで、つややかな光沢がある。きっとシルクだろう。

「いろいろ考えたんだよ。日菜子はこれからアメリカに行くから、重いものや割れ物は迷惑だろうしって」

 聡美が私の手もとをのぞきこみ教えてくれる。
 こちらの事情を考えてくれたんだ。

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