激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「でも早川さんにいい人が見つかってよかったわ。あなたと内藤くんじゃ釣り合わないもの」
「私みたいなかわいげのない女じゃ、彼が愛想をつかすのも仕方ないですよね」
「あら。そうじゃなくて、反対よ。内藤くんみたいに器の小さい男は早川さんにふさわしくない」

 先輩の言葉に首をかしげる。
 康介の器が小さいと思ったことはないけれど。

「彼は自分より後輩で契約社員の早川さんが評価されるのがいやだったのよ。プライドが高くて女を見下したい。男尊女卑がしみついている典型的なタイプね」
「だから、部長から評価される日菜子が許せなくて、新人の野口さんに手を出したんだろうね」

 ふたりの言葉を聞いて、「そうだったんだ……」とつぶやく。

 言われてみれば、康介はアメリカの経済紙を読んだり個人的に英語の勉強をしたりする私を見て、いつも不機嫌そうにしていた。

 そうやって少しずつ気持ちが離れていったんだ。
 私はそんなことにも気づけず、彼と結婚できると思って浮かれていた。

「もっと、相手のことを考えてあげられるようにならないとダメですね」

 私が反省しながらつぶやくと、先輩があきれたように苦笑した。
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