激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 そのとき、目の前で車が止まった。バン!とドアの閉まる音が聞こえ、中から男の人がおりてくる。

 長身の、スーツ姿の男の人だった。

「亮一さん……」

 信じられない気持ちで、こちらに歩いてくる亮一さんを見つめる。
 どうしてアメリカにいるはずの彼がここに。

「見苦しいぞ」

 彼は静かに言って康介を睨んだ。

「なんだよお前……っ!」

 康介は突然現れた亮一さんにかみつくようにそう言ったけれど、長身の彼からするどい視線を向けられ、その威圧感に怖気づいたように言葉をつまらせた。

「お前は彼女を貶すことで自分の自信のなさから目をそむけようとした。そんな狭量な男に、日菜子は任せられない」

 亮一さんは私の肩を抱きながら、康介に向かって言い放つ。

「なんだよ、えらそうに。日菜子はずっと俺を裏切ってたんだろ!」
「言っておくが、君と別れるまで俺と日菜子の間には一切男女の関係はなかった。俺が一方的に彼女を想っていただけだ」
「だったらお前は、自分のことを好きでもない女と結婚するのかよ!」
「そうだが、なにか問題か?」

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