激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 聡美が泣きそうな顔で私に抱き着いてくる。

「タクシーがなかなかつかまらなくて戻ってきたら内藤さんが怒鳴ってて、どうすればいいのかわからなくてハラハラしちゃった」

 彼女は警察を呼ぶべきか迷っていたらしい。
 そこに亮一さんが現れ、様子を見守っていたそうだ。

「ごめんね、心配かけて」

 聡美の肩を抱き返すと、見ていた亮一さんが「お友達?」とたずねる。

「そうです。会社で一番仲がよかった友人で……」
「水田聡美といいます」

 私の言葉を引き取って、聡美が頭を下げる。

「はじめまして。日菜子の夫の瀬名亮一です」
「お噂はかねがね」

 興味津々の視線を向けられた亮一さんは、「噂になっているんですね」と苦笑する。

「まじめで慎重な日菜子が結婚を即決するくらいだから、素敵な人なんだろうなとは思っていたんですが、想像以上でした。ものっすごいイケメンですね。外見はもちろん内面も」

 彼女は亮一さんを見上げ納得したようにうなずいた。

「ありがとうございます」

 亮一さんに微笑みかけられた聡美は、息をのみ顔を真っ赤にする。
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