激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「え? 亮一さんが?」

 信じられずに目を瞬かせる。

 職場であからさまなアプローチをしてくる女性職員もすごいけど、いつも優しい亮一さんがそんな言い方をするなんて。

「一部では鬼って恐れられていますからね。僕は、瀬名さんは筋が通っていてかっこいいから好きですけど」
「亮一さんが鬼……」

 まるで別の人の話を聞いているようだ。
 私がぽかんとしていると、玄関のドアが開く音がした。
 廊下を歩く靴音が近づいてきて、リビングのドアが開かれる。

「日菜子、悪い。遅くなった」

 謝りながら入って来たのは、スーツ姿の亮一さんだった。
 二週間ぶりに見る彼はやっぱりかっこいい。

「亮一さん。お疲れさまで……」

 そう言おうとしたけれど、言葉の続きが出なくなった。
 広い歩幅でこちらに近づいてきた亮一さんが、私を抱き寄せたからだ。

「あぁ。本物の日菜子だ。会いたかった」

 亮一さんは私を抱きしめ髪に顔をうずめる。

「り、亮一さん……っ」

 突然のことに驚いて、腕の中でじたばたともがく。
 胸を押し彼から距離をとろうとしたけれど、力強い腕はそれを許してくれなかった。

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