激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 一瞬だけ唇に柔らかい感触が触れた。

「キス、しましたよ」

 私が真っ赤になりながら顔を離すと、彼の唇が追いかけてきた。

「もっと」
「え……? んんっ」

 大きな手で後頭部を包み私を引き寄せると、微笑みながら唇を合わせる。
 ついばむような短いキスを繰り返され、そのたびに吐息が唇から漏れる。

「りょういち、さん……」

 どうしよう。耳のうしろのあたりがぞくぞくして体から力が抜けてしまいそうだ。
 私は崩れ落ちないように、震える手で亮一さんのスーツを掴む。

「――気持ちいい?」

 キスの合間に吐息だけで問われ、その色っぽさにくらくらした。
 必死に両足で自分の体を支えながらうなずく。

 その余裕のない様子を見て、亮一さんがのどの奥で笑った。

「本当に、めちゃくちゃにしてしまいたくなるほどかわいいな」

 壮絶な男の色気を感じ体の奥が熱くなる。

 いつもの紳士で優しい亮一さんも素敵だけど、少し意地悪な表情を浮かべる彼もかっこよくて見とれてしまう。

 亮一さんは私の腰を抱き寄せると、そのまま足を進めた。
 キングサイズのベッドに私を押し倒し、こちらを見下ろす。

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