激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 長い指をネクタイの結び目にかけ緩ませる仕草が色っぽいのに禁欲的で、見ているだけで背筋がぞくぞくと震えた。

「りょ、亮一さん……っ」
「ん?」
「ご褒美のキスはしましたけど!」
「キスだけじゃ足りない。もっとほしい」

 彼は慌てる私におかまいなしで、組み敷くようにベッドに膝をついた。

 壮絶に色っぽい笑みを向けられ、ごくりと息をのむ。

 亮一さんの指が私のブラウスのボタンをひとつずつはずしていく。
 はだけた胸もとが彼の視線にさらされて、心臓が大きな音をたてる。

「ま、待ってください、あの……っ」

 どうしていいのかわからずに彼を見上げる。

「俺たちは夫婦なんだから、親密になるためにスキンシップは必要だろ?」

 優しい口調だけど、その表情にはぞくりとするほどの色気があった。
 首筋に噛みつくようなキスをされ、びくんと体が跳ねる。

「んん……っ」

 手の甲で口をおさえ必死に声をこらえていると、脳裏に康介の言葉がよみがえった。

『――あいつは抱いてやっても反応は悪いし声も出さないし、退屈でしかない』

 その瞬間、一気に体温が下がった気がした。
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