激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 私が体をこわばらせたことに気づいた亮一さんが、動きをとめこちらを見る。

「日菜子?」

 心配そうに名前を呼ばれ、なんとか平静を装った。

「亮一さん、からかわないでください。夫婦のふりをするために親密にならなきゃいけないからって、ちょっとやりすぎです」

 なんとか笑顔で言うと、亮一さんは気持ちを落ち着かせるように「はぁー」と長く息を吐き出す。

「悪い」

 亮一さんは謝りながら体を起こした。

 自由になった私は、気持ちを落ち着かせるために深呼吸を繰り返す。

「日菜子がアメリカに来てくれたのがうれしくて、暴走しそうになった」
「暴走?」
「これからは気をつける」

 亮一さんはそう言って私の頭をなでる。

「時差もあるし疲れただろ。軽く食事をとって休んだほうがいい」
「そうですね。機内であまり寝れなかったので今日は早めに休もうかな」
「二、三日は時差ぼけがあるだろうから、無理はしなくていいからな」
「はい」

 うなずいた私を見て、亮一さんは優しく笑ってくれた。
 




 ワシントンでの生活は、想像以上に快適だった。


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