激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 亮一さんが治安のよさを重視してアパートメントを選んでくれたおかげで、日中ひとりで出歩いても不安に感じることはない。

 街を歩いていると、高い建物が少なくて緑が多くとても気持ちがよかった。
 自宅の近くには大聖堂や歴史的な建造物、息をのむような美しい庭園もある。

 休みの日には、亮一さんがあちこち案内してくれた。
 観光名所やショッピングモール。おしゃれなカフェに博物館や美術館。

 目に映るものすべてが新鮮だった。
 顔を輝かせて感激する私を見て、亮一さんがくすくすと笑う。
 そのまなざしが優しくて、見つめられるたび胸がつまった。

 ふたりでの生活も順調だ。

 初日こそ彼の色気にドキドキしてしまったけれど、それ以降はいつも通り紳士的に接してくれた。

 夜は一緒に眠るけれど、広いベッドのおかげで体が触れたりはしない。
 それに、忙しい亮一さんは家でも仕事をすることが多く、私が先に寝てしまうのがほとんどだ。

 ときどきお風呂上がりの上半身裸の彼に遭遇して、心臓が飛び出そうになったりはするけれど。

『アメリカでの生活、楽しそうでよかったわ』

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