激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 ビザの関係上、働くことはできないけれどとても充実した日々を送っている。
 もう少し生活に慣れたら、チャリティなんかにも参加してみたい。

『そうそう、十二月ごろにそっちに旅行に行こうかなって思ってるのよ』
「ワシントンに?」
『クリスマスシーズンをアメリカで過ごすのも楽しそうじゃない?』
「早苗さんとお兄ちゃんが遊びに来てくれたらすごくうれしい! 亮一さんにも伝えておくね」
『よろしくね』

 電話を切って窓の外を見る。

 街路樹の葉は色づきはじめていた。
 ワシントンは街並みが素敵だから、クリスマスシーズンになりあちこちの建物がライトアップされたらとても綺麗だろうな。
 そんな景色を想像して胸がはずんだ。



 

 天気のいい土曜日。
 私は亮一さんに誘われてチャリティイベントに来ていた。

 チャリティが盛んなアメリカでは、さまざまなイベントが開催されている。
 今日来たのは、事情があって保護された犬を里親に紹介する譲渡会だ。

 犬を飼う予定もないのに参加していいのかなと思っていたけれど、会場に行って驚く。

< 162 / 231 >

この作品をシェア

pagetop