激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「……そうやって恥じらいながら隠されると、じっくり追い詰めてすべて暴いてみたくなる」

 低いささやきに目を瞬かせる。
 いつも王子様みたいに優しい亮一さんの発言とは思えない。

「え……?」

 驚いて亮一さんの顔を見たときには、いつもの柔らかい笑みを浮かべていた。

「ルームサービスがもうすぐ届くから、今のうちにシャワーを浴びておいで」
「は、はい……!」

 亮一さんの言葉にうなずき、私は逃げるようにバスルームへと向かった。






      
 温かいシャワーを浴びながら少しずつ冷静さを取り戻す。

 昨日は康介の浮気にショックを受け、雨に打たれながらひとり橋を見下ろしていた。
 そこになぜか亮一さんが現れて……。

 そこからの記憶が曖昧だ。

 どうして亮一さんが日本にいるんだろう。

 彼は二年前からワシントンにある在アメリカ日本大使館に赴任していた。

 外交官は数年ごとに本省勤務と海外にある在外公館勤務を繰り返す。
 今はまだ海外赴任中のはずだ。

 それなのに、こうやって出会えるなんて……。

 ものすごい偶然に驚きつつバスルームを出る。

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