激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 タオルで体を拭きながら、何を着ればいいんだろうとあたりを見回した。

 昨夜着ていたワンピースは、亮一さんがクリーニングに出してくれたらしい。
 ほかに着るものがないとはいえ、またあのスリップ姿になるわけにはいかないし……。

 どうしようと考えていると、ふかふかのバスローブが用意されているのに気がついた。

 ありがたくお借りして、胸もとがはだけないようにしっかりと腰ひもを結ぶ。
 バスローブなんて着なれないから、ちょっと恥ずかしい。

 部屋に戻ると、亮一さんが私を待っていた。

「あの、亮一さんはどうして日本に……」

 たずねようとすると、「先に食事にしよう」とテーブルに案内された。

 そこにはおいしそうな朝食が用意されていた。
 亮一さんがルームサービスで頼んでくれていたようだ。

 焼きたてのパンにおしゃれな瓶に入ったバターやジャム。
 色どりの豊かなサラダ。ウインナーにオムレツ、温かい湯気を立てるスープ。
 そして、みずみずしいフルーツ。フォアグラを使ったパテまである。
 
 視覚も嗅覚も刺激され、空腹だったことに気づく。
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