激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 そういえば、昨日のお昼からなにも食べていない。

「おいしそう……」

 思わずつぶやいた私を見て、亮一さんは優しく笑った。

「食欲があってよかった」


 そう言って、私のために椅子を引いてくれる。

「あ、ありがとうございます」

 お礼を言って席に着く。
 レディーファーストが身についていて、さりげない気遣いがスマートでかっこいい。

 亮一さんはアメリカに住んでいるんだもんね。
 この外見でエリート外交官なんだから、間違いなくモテるだろう。
 いつもこうやって女性をエスコートしてデートしているんだろうな。

「とりあえず食べようか」

 向かいに座った亮一さんにそう言われ、手を合わせる。

「いただきます」

 ホテルの朝食はどれもおいしくて、自然と顔がほころんだ。

 素材の甘みがたっぷりのスープもふわふわのパンも新鮮なお野菜も、全部おいしい。

「気に入った?」
「はい、とってもおいしいです」

 彼の問いかけに迷わずうなずく。
 すると彼は安心したように表情を緩めた。

「あ、そうだ。昨日のことを聞きたかったんです」

 私はフォークを持つ手を止めてたずねる。

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