激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 今まで男性と付き合ったことがなかったと言うと驚いていたけど、初めてのことだらけで戸惑う私を優しくリードしてくれた。

 付き合って一年になる彼は、来年には結婚したいねと言ってくれていた。
 近いうちに我が家に挨拶に来てくれる予定だ。

 恋愛は順調だし、正社員にもなれそうだし。
 順風満帆ってこういうことを言うんだろうな。

「引き留めて悪かったね。今日はもう帰っていいよ」

 部長にそう言われ、「お先に失礼します」と頭を下げた。



 エレベーターに乗り込み腕時計を見る。
 時間は二十時を少しすぎたあたり。思ったより早く帰れた。

 康介は今頃なにをしているだろう。

 定時過ぎに会社を出ようとする康介を見つけ、『部長から残業を頼まれたから今日は遅くなりそう』と伝えると、彼は不満気な顔をしたあと『わかった』とだけ言って先に帰っていった。

 もしかして怒っているかな……。と不安になる。

 最近康介の仕事が忙しいからかすれ違いがちだった。
 連絡をしてもそっけないことが多い。

 倦怠期というんだろうか。
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