激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 はっきりとした理由はないけれど、付き合い始めの頃とは彼の態度が変わってきたのを感じる。

 久しぶりのデートでちゃんと仲直りしたいと思ってたんだけど、今回は私が残業になっちゃったし……。


 エレベーター内に取り付けられた鏡を見る。
 薄い紫とライトグレーの中間のような淡い色のワンピースは、腰のあたりがきゅっと締まっていてスタイルが綺麗に見える。
 アクセサリーはダイヤのピアス。

 私は色白で髪も瞳の色も薄めだから、はっきりとした色やかわいらしいデザインよりもシンプルで落ち着いたトーンが似合うとよく言われる。

 康介にかわいいと思ってもらいたくて、お気に入りのものを身に着けてきたのにな。

 部長に『用事があるので』と話して残業は断るべきだったかな。
 でも、誰かがやらなきゃいけない仕事だったし、ちゃんと話して謝れば彼もわかってくれるはず。

 康介はきっと部屋にいるだろう。
 デートをドタキャンしてしまったおわびに、彼の好きなものを買って家に行ってみよう。

 スマホを取り出し『残業が終わったから、これから行くね』とメッセージを送る。
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