激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 既読にはならなかったけれど、とりあえず向かってみようと歩き出した。

 ちゃんと話して仲直りできたらいいなと思いながら、途中のお店でスイーツと康介の好きなワインを買う。
 彼のマンションにつき、インターフォンを押す。
 しばらく待っても返答がなく、ドアの前で首をかしげた。

「あれ、出かけてるのかな……?」

 もう一度スマホを確認する。
 メッセージは未読のままだった。

 もしかしたら、疲れて寝ているのかもしれない。

 このまま帰ったほうがいいかなと思い、手に持ったスイーツを見て悩む。

 せっかく彼の好きな濃厚なチーズケーキを買ったから、置いていってあげようかな。
 あとで『冷蔵庫にスイーツを入れておいたよ』とメッセージを送っておけばいいよね。

 彼からもらった合い鍵を取り出す。
 康介を起こさないようにそっとドアを開け玄関に入ると、そこには彼の革靴があった。

 やっぱり部屋にいるんだ。
 そう思ってから気がついた。

 革靴の隣に女性ものの靴が並んでいた。
 ピンク色のかわいらしいパンプス。どこかで見た覚えがある。

< 7 / 231 >

この作品をシェア

pagetop