激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 すべて予定通りに運び、余裕の笑みを見せる亮一さんを睨む。

「それにしても亮一さん、嘘をつくのがうますぎです。本当に愛されているのかなって、勘違いしそうになりました」
「本気にしてくれてかまわない」
「そういうことを平然と言うところがうますぎるんです……っ!」

 亮一さんはずっと彼女がいなかったらしいけど、この調子じゃたくさんの女性を勘違いさせているんじゃないだろうか。

「それにしても、兄がずっと罪悪感を抱えてきたなんて知りませんでした」
「今まで黙っていて悪かった」

 そう謝られ、首を横に振る。

 亮一さんは、事故直後に兄から打ち明けられたそうだ。

 けれど両親の死に悲しみ憔悴していた私たち兄妹を見て、今は黙っていたほうがいいと見守り続けていてくれた。

「私も事故直後に知らされていたら、混乱して兄を責めていたかもしれません。できればもう少し早く教えてもらいたかった気もしますけど、これはこれでよかったのかも」
「そう言ってもらえてよかった」
「亮一さんは、兄に素直な気持ちを吐き出させるために、わざと辛辣な言葉を選んだんですね」

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