激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「無駄じゃないだろ。興味のあることについて知りたいと思うのは当然の欲求だ。恥ずかしがる必要はない」

 亮一さんがそう言い切る。
 目からうろこが落ちた気分だった。

 意識が高いわけではなく、当然の欲求。
 その言葉に、自分を認めてもらえた気がした。

「すぐに役に立たなかったとしても、日菜子が身につけた知識は間違いなく君の財産になる。向上心のないやつの戯言を真に受ける必要はない」

 優しく私の頭をなでてくれた。胸のあたりが温かくなる。

「亮一さん。ありがとうございます」

 私がはにかみながらお礼を言うと、亮一さんは小さく笑う。

「ふたりきりになると敬語に戻すんだな」
「あ、すみません。ついくせで……。敬語じゃないほうがいいですか?」
「すぐに変えろとは言わないけど、俺たちは夫婦になるんだからもう少し親密になったほうがいいだろうな」
「ふ、夫婦……」

 あらためて言われると、なんだか照れてしまう。

 そうか、私と亮一さんは夫婦になるんだ……。アメリカで、一緒に暮らすんだよね。

 こんなにかっこいい人と四六時中一緒に過ごすなんて、心臓が持つだろうかと心配になる。

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