激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「どうやったら親密な空気を出せるようになるんでしょうね」

 素朴な疑問をつぶやくと、亮一さんが苦笑いをした。

「部屋にふたりきりなのにそんな質問をするって。俺の理性を試してるのか?」
「え?」

 瞬きしたと同時に、視界がくるんと回った。
 亮一さんの整った顔と部屋の天井が見えて、自分が今どういう態勢になっているのか気づく。

 亮一さんに、押し倒されている……!

「えっと、あの、亮一さん。なにをするつもりですか……?」

 起き上がろうとしたけれど、両手首を抑えられ身動きがとれなかった。

 どうしていいのかわからなくて頬が熱くなっていく。
 そんな私を見下ろして、彼は意地悪に微笑んだ。

「なにをされると思う?」
「そ、そんなの……っ」

 頭に浮かんだ言葉はとてもじゃないけど口に出せない。

 だって私たちの間に恋愛感情はない。
 彼が私を抱こうと思うはずがない。

「は、離してください」

 頬を熱くしながらお願いする。
 動揺のせいで視界がうるんでいた。
 そんな私を見て、彼は笑みを深くした。

「どうしようかな」

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