激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「本当ですか?」

 亮一さんはそう言ってくれたけれど、私は不安でいっぱいだった。







 翌日、亮一さんの車で彼の実家へと向かう。


 車内で亮一さんのお父様は会社の役員をしていると聞いて、さらに不安が大きくなった。

 裕福な家庭に生まれ、今はエリート外交官。
 そんな彼にふさわしいのは私ではなく、家柄がよく知性にあふれたお嬢様なんじゃないだろうか。

「いくら契約結婚だとはいえ、相手が私なんかで本当にいいんですか?」
「大丈夫だよ。日菜子なら」

 私の心配をよそに、車はご実家のマンションに到着する。
 見るからに高級そうな建物に、さらに緊張が増した。

 けれど、すでにご両親は亮一さんから結婚の話を聞いていたらしく、温かく私を迎えてくれた。

 リビングのソファに座り、ご両親に挨拶をする。

 亮一さんはお父様似なんだろう。
 理知的で整った顔つきだけれど、笑うと目もとが優しく緩む。

 とても渋くて紳士的で、二、三十年後は亮一さんもこんなかっこいいおじさまになっているんだろうなと想像して、ちょっとドキドキしてしまった。

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