激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「言っておくけど、俺は親をよろこばせるために結婚をするわけじゃない。ふたりで幸せになるために夫婦になるんだ」
「亮一さん……」

 彼のまっすぐな言葉に胸が熱くなる。
 本当に、なんて頼もしくてかっこいいんだろう。

 お互いの利害のための契約結婚ではなく、本当に愛されて亮一さんと夫婦になれたら、どんなに幸せだろう。
 そう想像して切なくなった。

 欲張っちゃいけない。私と亮一さんの間に、恋愛感情はないんだから。

「そうね。はしゃいじゃってごめんなさい、日菜子ちゃん」

 お母様の言葉に「いえ」と微笑み首を横に振る。

「突然ご挨拶に来たのに、温かく受け入れていただけて本当にうれしいです」
「私たちも日菜子ちゃんと家族になれてうれしいわ。亮一が自分で結婚相手を連れてくることなんてないだろうとあきらめていたから」

 そう言われ首をかしげた。
 亮一さんはとても魅力的な人だから、いつ素敵な女性を連れてきても不思議ではないのに。

「亮一はずっと想いを寄せている女性がいるから、ほかの人とは見合いも結婚もするつもりはないと言い張っていたからな」
「想いを寄せている女性……」

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