激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「くだらない男に捨てられたんじゃなく、もっといい男に乗り換えたんだと説明すればいい。そうすれば、バカな元カレと浮気相手を見返せる」

 たしかに、この指輪をつけて会社に行ったら、私を同情する人はいなくなる。
 それどころか、みんなうらやましがるかもしれない。

 だけど……。

「豪華な指輪を見せつけて復讐するみたいなこと、したくありません」

 私がそう言うと、亮一さんが眉をよせた。

「どうして? まだ元カレが好きだからか」

 彼の問いかけに「違います」と首を横に振る。

「せっかく亮一さんがくれた素敵な指輪を、そんなことに使いたくないんです」

 たとえ私の兄や亮一さんのご両親を騙すためだけに買った指輪とはいえ、亮一さんがプレゼントしてくれたものだ。
 嫌な思い出をつくったりせず、大切にしたい。

 亮一さんは一瞬黙り込んだあと、大きく息を吐き出した。

「日菜子のそういうところが本当に……」とつぶやく。

「亮一さん?」

 なんだろうと首をかしげる。

 気づけば車は私の自宅まできていた。
 亮一さんはハンドルを切り、門の中の駐車スペースに車をとめる。

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