激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
 話していると、亮一さんが体をかがめ私の首筋にキスをした。
 思わず体が跳ね短い悲鳴が漏れる。

「ま、待ってください……! スキンシップって、いきなりそんな濃厚すぎます!」
「一カ月後にはアメリカで暮らすんだ。あちらでは夫婦なら人前でもふつうにキスをする」

 慌てる私におかまいなしで、亮一さんは私の首筋に顔をうずめる。
 肌に唇が触れるたび、びくんと大きく体が震えた。

「キ、キスっていっても、頬や口ですよね? 押し倒されて首筋にキスされるなんて、こんなの……」

 私が口ごもると、亮一さんは私の鎖骨を唇でなぞりながら視線だけをこちらに向けた。

 少し乱れた前髪の間からのぞく黒い瞳。
 その煽情的な表情に体の奥が熱くなる。

「こんなの、の続きは?」

 亮一さんに言葉の続きを促されたけれど、私は唇を閉ざして首を横に振った。

 ……こんなの、スキンシップじゃなくて愛撫だ。

 そう思ったけれど、とても口に出せなくて、手の甲を唇に押し当て声をこらえる。

「んん……っ」

 亮一さんの唇が肌に触れるたびに、助手席のシートの上で体が跳ねる。

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