激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「かわいい声だな。もっと聞きたくなる」

 欲情がにじむ低い声でささやかれ、体が熱くなった。

 ただ首筋にキスをされているだけなのに、体の奥がむずむずしてどうしていいのかわからなくなる。

「や、やだ……。亮一さん……っ」

 膝をすり合わせながら懇願すると、亮一さんが目を細める。
 獲物を前に狩りを楽しむような、嗜虐的で色っぽい笑み。

 普段の上品で紳士な彼とのギャップに体の奥が熱くなる。

「やだって、なにが?」
「首筋にキスするの、だめです」
「じゃあ、違うところならいいのか?」
「ち、違うところって……?」

 試すような質問をされ、声がうわずった。

「日菜子は、どこにキスをされたい?」

 亮一さんの優しい口調はいつものままなのに、視線や雰囲気が艶っぽくて見ているだけで鼓動が速くなる。

 無理強いはされていないのに、じわじわと逃げ場を奪われ追い詰められていくような感覚。

 まるではりめぐらせた巧妙な罠に私がかかるのを待っているみたいだ。

「どこって……」
「言ってくれないなら、俺がしたいところにキスする。いい?」

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