激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「安心しろ。ちゃんと場所は選んでる」
「どこがだよ。車の中であんな……っ!」
「門の中に止めた車の中なんて、重度のシスコンのお前くらいしか見てないだろ」
「だから、シスコンじゃねぇっ!」

 顔を真っ赤にする兄を無視して亮一さんは私のほうを向く。

「次に日菜子に会えるのは一カ月後か。寂しいな」

 まっすぐに見つめながら言われ、これは演技だとわかっているのにドキドキしてしまった。
 亮一さんは本当に嘘がうますぎる。

「このまま日菜子をアメリカに連れていけたらいいのにな」

 切なそうにささやく声を聞いて、胸のあたりがきゅっと締めつけられた。

「い、一カ月後に行くから、待っててね」

 ぎこちなく言うと、亮一さんは「あぁ。楽しみにしてる」と微笑み腕を伸ばした。
 私の後頭部を手で包み引き寄せ、ちゅっと音をたて頬にキスをする。

「ひゃ!」

 唇の感触に肩が跳ねた。

「好きだよ、日菜子」

 頬へのキスだけじゃ足りない、というように亮一さんは首を傾け顔を近づける。
 今度は唇にされるんじゃ……。と身構えると、兄の怒鳴り声が響いた。

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