夜のオトシモノ
「 取り敢えず出せよこいつの落としたモノ
お前の命と交換 」
10 ~ 9 ~ とカウントダウンを始める彼に
私の生徒手帳を投げ捨てて走り去る男
「 てめぇ、逃げんな! 」
『 待って... 』
この時の私は恐怖心や安堵感や
色んな感情がごちゃ混ぜになって
自分でも訳がわからなかった。
ただ、彼が来たことに安心したのは確かで
今1人になりたくなくて
彼の服をいつの間にか握っていた。
『 行かないで 』
らしくない私から出た言葉
いつの間に流れていたのか分からない涙は
アスファルトを濡らして行く
でも、今1人になるのはどうしても嫌だった。