夜のオトシモノ
ピクリと反応をする私を鼻で笑って
1歩1歩近付いてくる
「 あってんじゃねぇか。 」
『 あってますけど。 』
「 なら返事しろよ 」
なぜこの人はこんなにも上から目線なのでしょうか??
喉元まで出た言葉
でも、発することは許されない雰囲気
「 だりぃな。行くぞ。 」
先程よりも低くなった声と少しキツく掴まれた腕
たったそれだけでも男と女の差を見せつけられた。
歩幅は合わないし 会話もない
どこを歩いてるのかも一切分からない
ただ繁華街の方に出ることはなく
ポツポツとした街頭の道に私と彼の足音が響く
小走りの私になんて目もくれずスタスタと歩く
彼にいつまで付き合えばいいのだろうかと考えながら
連れてこられた場所は今はもう使われなくなったのか
ほとんどシャッターで閉じられた旧繁華街