囚われのシンデレラ【完結】
「……ごめん。あずさ」
「西園寺さん?」
その声が少し絞り出したようなものになる。
それが気になっても、西園寺さんの顔は私の後ろにあるから見ることができない。
「ずっと、あずさには辛く当たってきた。辛い思いをさせたな」
「う、ううん――」
回された腕に力が込められる。
「あの日、誰でもいいなんて言ってあずさを抱いたが――」
私の首元に顔を埋めて、私の髪に指を差し入れて。苦しそうに抱きしめる。
「あずさ以外、誰のことも抱きたいなんて思わない」
「んんっ――」
抱き締める手のひらが私の肌をゆっくりと滑り、胸の膨らみを辿るように触れながら言う。
「全部俺のものにしたくて、欲しいと思うのはあずさだけだ」
「……あっ」
硬く熱いものが押し付けられて、私の身体も勝手に疼き始める。
「あずさの喘ぐ声、聞いているだけでたまらない。もっと、喘がせたくなる。いつものあずさからは考えられない淫らな声が、俺を狂わせる」
「もう、だめ……っ。おかしくなる――」
「もっと、おかしくなれよ。声も、乱れる姿も、全部、俺だけのものだって思わせてくれ」
もう、身体全部が性感帯みたいになって。
触れる場所から震えて仕方ない。
大きな手のひらが私の顎を掴み、後ろへと向けさせる。そうしたらすぐさま唇を塞がれた。
「舌……出して」
言われるままに少しだけ出すと、あっというまに絡め取られて上下に重なり触れ合う。
繋がっている場所は唇なのに、もう下半身がぞわぞわと切なくなる。
完全に、自分が自分ではなくなる。
心から求めていた人に求められる喜びで、うち震えた。
甘い愛撫で、全身はとろとろに溶かされて。抵抗など放棄してしまいたいと、思ってしまう。
「可愛い。可愛くて、甘やかしたくてたまらない」
「西園寺さ……っ、だめ。私ばかり、気持ちよくて――」
「いいんだよ。俺がそうしたいんだ。ずっと、甘やかしたかったんだから」
快感の渦に身体を絡め取られていく。
「あずさが気持ちいいと、俺も気持ちいい」
私の快感を最高潮にまで引き上げてから、身体を繋げられた。
羞恥心も躊躇いも全部西園寺さんが私から奪い取って、時間を忘れて何度も抱き合った。
「このままずっと、繋がったままでいられたら」
西園寺さんが、私をきつく抱きしめながら声を漏らした。
少しも離れていたくない。
触れても触れても、その素肌に触れたくなる。
どうして、こんなにも焦がれてしまうんだろう。西園寺さんのことが好きでたまらない。
果てしない愛撫と甘いキスと。
重なる肌の汗ばんだ温もりが、夜が更けても私のそばにあった。
こんな、死ぬほど幸せな温もりを感じてしまったら、もう心も離れていたくない。
西園寺さんの温かな肌に包まれて。もう身体のどこにも力が入らない幸せに満ちた気怠さで、その胸の中で眠りについていた。