囚われのシンデレラ【完結】
「……それ、ほとんど私も同じです。私なんて、西園寺さんとスマホでメッセージのやり取りをしていた時、ニヤニヤして気持ち悪いと友人に言われましたから」
「あずさが、か……?」
突然、西園寺さんが私に顔を向ける。
「は、はい」
「そう、か……」
そして、何故かすぐに西園寺さんが私から目をそらした。
「佳孝。何、喜んでるんだよ」
喜んでる――?
「……ああ、もう。なんなんだ、この二人は。見ているだけで暑くなるよ。この季節に毒だ」
「おまえが見たいと言って来たんだろ。それに、俺はこの気持ちを隠すつもりもない。そんな必要ないだろ? 隠せと言っても無理だ」
西園寺さん――!
はっきりとそう言う西園寺さんに、隣で小さくなる。照れに照れてしまう。
「そうだな。おまえがどれだけ真剣なのかは、僕が一番分かってる。だから、僕は二人を応援するよ」
「ああ。おまえには、そうしてもらいたいって思ってる」
――その地位に相応しい、誰から見られても落ち度のない行動をし、付き合う相手も相応しい人間でなければならない――
以前会った時に斎藤さんが言っていた言葉を思い浮かべる。
「……ああ、ごめん。家から電話だ。少し、席を外す。遥人、あずさに変なことを言うなよ。じゃあ、あずさ、待ってて」
「はい」
私の肩をぽんと叩くと、スマホを耳にしながら西園寺さんが行ってしまった。
二人残された後、ぽつりと斎藤さんが口を開いた。