1000年後の約束をしよう
「また必ず逢おう!」
真っ赤に泣き腫らした目をしながら、四人は並んで静かに海と空を見つめていた。

暗闇に包まれていた空が少しずつ明るくなり、空と海が少しずつピンクに、そしてオレンジへと染まっていく。

「綺麗な朝焼け……」

香穂が呟き、新がゆっくりと頷く。来てほしくない朝が来てしまった。旬はギュッと強く拳を握り締める。その時、真奈が言った。

「大丈夫だよ、旬。私たちの絆は本当に強い。絶対に壊れたりなんかしない。いつだって出逢えるよ」

「そうだな。今は、ネットなんかで自由にいつでも繋がれるしな。それに、偉人の言葉でこんな名言もあるんだぞ?「離れている時間が絆を深める」ってな」

新がそう言うと、香穂が「その名言、かっこいい!」と目を輝かせる。明るいあそ部のいつもの光景に、旬の顔にも自然と笑みが浮かんでいた。

未来から逃げ出すことはできない。過去を振り返ったところで、そのワンシーンに逃げ込めるわけでもない。この世界に生きている者たちは、前を向いて歩くことしかできないのだ。それは残酷であり、同時に希望でもある。
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